王の行進. Морган Райс
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マッギルは手を伸ばしてマントとシャツを脱ぎ、下着姿になった。眉とあごひげの汗を拭ってから、反り返って大型の重いブーツを片方ずつ脱ぐと、つま先を丸めた。座ってバランスを取り戻そうとしながら荒く息をした。腹に肉が付いてきた今では、なかなか大変だ。脚を蹴り上げて仰向けになり、枕に頭をあずけた。ため息をつきながら、ベッドの四本の柱と天井を見上げ、目が回るのが止まってくれることを願った。
いったい誰が自分を殺したいというのか? マッギルは再び考えた。ソアのことは自分の息子のように可愛がっていたため、彼であるわけがないと心のどこかで感じていた。ではいったい誰なのだろう、動機は何なのか、と考えた。そして最も肝心なのは、再びしかけてくるだろうか、ということだった。自分は安全なのだろうか?アルゴンの予言は正しかったのだろうか?
答えは自分の理解を超えたところにあると思ったのと同時に、マッギルはまぶたが重くなってくるのを感じた。頭がもう少し冴えていたら、答えが出ていたかも知れない。だが、夜が明けてから顧問団を召集し、捜査を始めるまで待たなければならないだろう。頭の中にあったのは、誰が自分を殺したいかではなく、誰が自分に死んで欲しくないと思っているか、という問いだった。宮廷には王位を欲しがる者があふれている。野心家の将軍たちや策を弄する議員、権力を求める貴族や領主、スパイ、昔からのライバル、マクラウド家の、そしてもしかしたらワイルド(荒地)からの暗殺者。恐らくそれよりは近いだろう。
瞼がピクピクと動き、マッギルが眠りに落ちようかという時、彼の注意を引いたものがあった。眼を覚まし、何かの動きを察知して見回すと、付き人がいなくなっていることに気づいた。瞬きをし、混乱した。付き人が自分を一人きりにしたことなどない。事実、最後にこの部屋でたった一人になったのがいつか思い出せないくらいだ。下がってよいと命じた覚えはない。更に変なのは、扉が開いたままになっていることだ。
その時、部屋の向こう側から音がするのが聞こえ、マッギルは振り向いて見た。壁に沿って忍び寄るように、黒いマントを羽織ってフードを目深にかぶった、背の高い痩せた男が影からたいまつの灯りの下に現れた。マッギルは、本当に見えていることなのだろうか、と思いながら何度も瞬きをした。最初は、ゆらゆら揺れるたいまつによる眼の錯覚、ただの影だと確かに思った。
しかしそれはあっという間に近付き、素早くベッドのところまで来た。誰なのか、マッギルは暗がりの中で焦点を合わせて見ようとした。思わず起き上がり、かつて戦士だった王は、刀、あるいは少なくとも短剣を差しているはずの腰に手をやった。だが衣服を脱いだ後だったため、武器は身につけていなかった。丸腰のままベッドに腰掛けた状態だった。
男は動きが速く、夜の蛇のように近づいた。マッギルは、身を起こした時にその顔を見た。部屋は未だにぐるぐると回って見える。酔いのためにはっきりとわからない状態ながらも、一瞬で自分の息子の顔だと確信した。
ガレスが?
マッギルの心が突然パニックに襲われた。こんなに夜遅くに予告もなく現れ、彼はいったいここで何をしているのだろう?