英雄たちの探求 . Морган Райс
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Читать онлайн книгу 英雄たちの探求 - Морган Райс страница 17
ソアは走りながら何をすべきか考えていたが、とるべき行動はおのずから明らかになった。新兵で一人の体格の良い少年が、皆を感心させようとしてソアを止める役を買って出たのだ。背が高く、筋肉隆々なこの少年は、体がソアの二倍ほどある。ソアの行く手を阻もうとして木の剣を振り上げた。ソアには、彼が自分を倒して笑いものにすることで、他の新兵よりも優位に立とうとしているのがわかった。
そのことがソアを怒らせた。彼と闘ういわれはなかったし、自分がするべき喧嘩ではなかったが、他の皆よりも優位に立つためだけにこの闘いに応じようと決めた。
二人が近づくにつれ、ソアはこの少年の大きさに目を疑った。塔のように自分の前に立ちはだかってこちらを睨んでいる。額を覆う黒髪は豊かで、ソアが今まで見た中で最も大きく四角いあごをしている。この少年を相手にどう闘えばよいのかわからなかった。
少年は木の剣でソアに襲いかかってきた。ソアは素早く動かなければやられる、とわかっていた。
反射神経が反応した。本能的に投石具を取り出し、石を引いて少年の手に向かって投げた。石は的を射て剣に当たり、少年が手を降ろしたときに剣は手を離れ、宙に飛んだ。少年は叫び声をあげ、自分の手をつかんだ。
ソアは時間を無駄にしなかった。彼は突進した。すきを狙って空中に飛び上がり、少年を蹴って、二本の足が正面から胸に食い込んだ。少年は胸板が厚いため、樫の木を蹴っているようなもので、ほんの数インチ後ろによろめいただけだった。一方ソアは行き詰って、少年の足元に落ちた。ドシリと音を立てて着地しながら、これはまずいぞ、とソアは思った。耳が鳴っていた。
ソアは立ち上がろうとしたが、少年のほうが一歩早かった。背中につかみかかったかと思うとソアを投げ飛ばした。土の中に顔から落ちた。
少年たちがあっという間に二人を取り囲み、歓声を上げた。ソアは顔が赤くなり、自尊心を傷つけられた。
ソアが振り向いて立ち上がったが、少年は素早かった。既に自分を上から押さえつけている。いつの間にかレスリングとなり、そうなると少年の重さはとてつもなかった。他の新兵たちが輪になり、血を求めて叫んでいるのが聞こえてきた。少年が上から睨んでいる。両手の親指を伸ばし、ソアの目に近づける。信じられなかった。自分を本当に傷つけようとしているのだ。それほど人よりも優位に立ちたいのか?
最後の瞬間にソアは頭をそらしてよけ、少年の手は地面に着いた。そのすきに体を転がして少年から逃れた。
ソアは立って、やはり立ち上がった少年に対峙した。突進してソアの顔に飛び掛ってきた少年を土壇場でかわした。空気が顔のそばで揺れた。当たっていたら、あごが折れていただろうと思った。ソアは手を挙げて少年の腹にげんこを食らわせたが、相手はびくともしない。木を殴っているようなものだ。