ドラゴンの運命. Морган Райс
Чтение книги онлайн.
Читать онлайн книгу ドラゴンの運命 - Морган Райс страница 4
これが役に立った。もう滑らない。すぐに漕げるようになった。
周りでも少年たちが皆漕ぎ始めた。リースはソアの前の席だった。船が進んでいる感覚があり、数分もすると、雨の壁が前方で明るくなった。
漕げば漕ぐほど、このおかしな雨のせいで皮膚が焼けるようで、体中の筋肉が痛む。やっと雨の音が静まり始め、頭に降り注ぐ雨の量が減ったのが感じられた。その後すぐに、太陽が照る場所に出た。
ソアは辺りを見回し、ショックを受けた。すっかり晴れ上がって、明るい。これほどおかしなことは経験したことがない。船の半分は晴れて太陽が輝く空の下にあり、もう半分は雨の壁を通過し終えようというところで雨が激しく降り注いでいる。
やがて船全体が澄みわたった青と黄色の空の下に入り、あたたかな太陽の光が皆の上に注いだ。雨の壁があっという間に消えて静けさが訪れ、仲間たちは驚きに互いの顔を見合わせていた。まるでカーテンを通り過ぎて別世界に入ったかのようだった。
「休め!」コルクが叫んだ。
ソアの周りの少年たちが皆一斉にうめき声を上げ、あえぎながら休んだ。ソアも体中の筋肉の震えを感じながら同じようにし、休憩に感謝した。船が新たな海域に入ったのに合わせ、倒れこんであえぎ、痛む筋肉を休めようとした。
ソアはようやく回復し、辺りを見回した。水面を見ると、色が変わっているのに気付いた。今は淡く輝く赤色になっている。違う海域に入ったのだ。
「ドラゴンの海だ」隣にいたリースも驚いて見下ろしながら言った。 「犠牲者の血で赤く染まったって言われてるんだ」
ソアはその色を見つめた。ところどころ泡が立っている。離れたところで奇妙な獣が瞬間的に顔を出してはまた潜っていく。どれもあまり長い間水面にとどまらないため、よく見ることができない。だが、運にまかせて、もっと近くまで乗り出して見たいとも思わなかった。
ソアはすべてを理解し、混乱していた。雨の壁のこちら側は何もかもが異質だ。大気にはわずかに赤い霧まであり、水面上を低く覆っている。水平線を見ると、数十もの小さな島々が飛び石のように広がっている。
風がいくらか強くなってきた。コルクが進みでて叫ぶ。
「帆を揚げよ!」
ソアは周りの少年たちと共に迅速に動いた。ロープをつかみ、風をつかまえられるように引き上げる。帆が風を孕んだ。ソアは自分たちの下で船が今までにないスピードで前進していくのを感じ、一行は島を目指した。船が大きくうねる波に揺さぶられ、唐突に押し上げられては、静かに上下した。
ソアはへさきに向かって行き、手すりに寄りかかって遠くを見渡した。リースが隣にやって来て、オコナーも反対側に立った。ソアは二人と並んで立ち、島々がどんどん近づいてくるのを見ていた。長いこと黙ったままそうしていた。ソアは湿ったそよ風を満喫しながら体を休めた。
やがて、自分たちがある島を特に目指していることにソアは気づいた。どんどん大きく見えてくる。そこが目的地であることがわかるにつれ、ソアは寒気を覚えた。
「ミスト島、霧の島だ」リースが畏れを持ってそう言った。