ドラゴンの運命. Морган Райс

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ドラゴンの運命 - Морган Райс 魔術師の環 第一巻

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      広間の向こう側の大きい扉が、きしむ音を立てながら開いた。興奮気味の「しーっ!」という声とともに、広間は期待に満ちた静寂に包まれた。12名の宮廷で最も屈強な者たちが、間に剣を掲げながら入場した。その重さに苦労している。片側6名ずつの男たちが、剣の安置場所まで一歩ずつ行進していく。

      剣が近づくにつれ、ガレスの心臓は鼓動が早くなった。一瞬、自信が揺らいだ。今まで見たことがないほど大柄の、この12名の男たちに持ち上げることができないのなら、自分にできる見込みなどあるのだろうか?だが、ガレスはそのことは考えないようにした。剣は運命に関係しているのであって、権力ではないのだ。そして、ここにいること、マッギル家の第一子であること、王であることが自分の運命なのだと自分にいい聞かせた。会衆の中にアルゴンの姿を探した。どういうわけか、急に彼の助言を無性に仰ぎたくなった。その助けが最も必要な時だった。なぜか、他の者は思い浮かばなかった。だが、アルゴンの姿はなかった。

      やがて12名の男たちは広間の中央まで進み、太陽の光が差し込む場所に剣を運んで、鉄製の突起状の台に安置した。金属の音が響き、室内にこだまするなか剣が置かれ、静寂が広がった。

      会衆は自然と分かれて、ガレスが剣を持ち上げるために進めるよう道を開けた。

      ガレスは王座からゆっくりと立ち上がり、この瞬間と、自分が集めている注目とを味わった。全員の目が自分に注がれているのを感じた。王国の誰もが完全に、これほどの注意を向けて自分を見つめ、自分の動きのすべてを見ようとする、このような時は二度とやって来ないだろうとわかっていた。子供の頃から、この瞬間を心の中で何度も思い描き、そして今その時がやってきた。ゆっくりと時が流れて欲しいと思った。

      王座の階段を一段ずつゆっくり味わいながら下った。足下の真紅の絨毯を、その柔らかさを感じながら、一筋の太陽の光に、剣に近づいて行った。それは夢の中を歩いているようだった。自分が自分でないような気がした。自分の中に、以前夢の中でこの絨毯を何度も歩き、剣を何百万回も持ち上げたことのある自分があった。それが一層、自分が剣を持ち上げるよう運命づけられていると、運命に向かって歩いているのだと感じさせた。

      どう事が運ぶか、ガレスは頭の中で思い描いた。堂々と進み出て片手を伸ばし、臣民が乗りだして見守る中、素早く劇的に剣を振り上げ、頭上にかざして見せる。皆、息を呑み、ひれ伏して彼を選ばれし者であると宣言する。歴代のマッギルの王のうち最も重要で、永遠に支配することを運命づけられた者として。その光景に皆が歓喜の涙を流すのだ。そして彼を畏れ、服従する。これを見るために生きてきたことを神に感謝し、彼こそ神であるとあがめる。

      ガレスは剣にあと数フィートというところまで近づき、体の中で震えを感じていた。太陽の光の中に入ると、何度も目にしたことのある剣でありながら、その美しさにはっとさせられた。これほど近づくことは許されなかったため、驚きを禁じ得なかった。強烈だった。誰にも判別できない素材で造られた、長い輝く刃の剣は、ガレスもこれ以上華麗なものを見たことがないほどの柄を持っていた。

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