英雄たちの探求 . Морган Райс
Чтение книги онлайн.
Читать онлайн книгу 英雄たちの探求 - Морган Райс страница 9
最も脅威に感じていたのは無論、リングの外である。辺境の地、ワイルド(荒地)を統治し、峡谷の向こう側、リングの外の民をすべて従属させた蛮人の帝国からの攻撃である。マッギルとそれ以前の7代の国王にとって、荒地が直接の脅威となったことはなかった。それは完璧な円を描くこの王国独特の地形、リング(環)によるものであった。幅1マイルもの深い峡谷によって外界と遮断され、マッギル1世の時代から活発なエネルギーの盾に守られて、ワイルドを恐れる理由などほとんどなかった。蛮人は何度も攻撃や盾の通過、峡谷の横断を試みたが、一度として成功したことはなかった。リングの内側にいる限り、彼も彼の民も外からの脅威はありえなかった。
が、それは内側からの脅威がないということではない。このところマッギルがまんじりともせずにいるのはそのためであった。それが日中、長女の結婚のための祝祭を行った目的であった。まさに、敵をなだめ、リングの東・西王国間の心もとない平和を維持するためにお膳立てされた結婚であった。
リングは、それぞれの方角に優に500マイルの幅があり、真ん中を山脈で仕切られて分断されている。これが高原である。高原の反対側に東王国があり、リングのもう半分を統治していた。宿敵マクラウド家が数世紀にわたってこの国を治め、マッギル家との不安定な休戦状態を終わらせようと常に画策してきた。マクラウド家は不満を抱えており、自分たちの王国が不毛の側の土地にあると信じ、その持分に満足していなかった。そして少なくとも半分はマッギル家に属するはずの山岳地帯全体の所有権を主張し、高原をめぐって争っていた。国境をめぐる小競り合いは絶え間なく、侵略の恐れも常にあった。
マッギルはそうしたすべてを思案し、悩んでいた。マクラウドは満足するべきである。峡谷に守られてリング内で安全が保証され、選んだ土地に国を構え、恐れるものもない。所有するリングの半分に満足すべきではないか。マッギルが軍隊を非常に強化してきたことが、マクラウドが歴史上初めて侵略を試みない唯一の理由だ。しかし、マッギルは賢い王であったので、地平線の向こう側に何かを感じ取った。この平和が長くは続かないことを知っていた。そのため自分の長女とマクラウド家の長男との結婚を決め、その日がやってきたのだった。
自分の真下には、王国の隅々から、高原の両側から来た、明るい色のチュニックを着た何千人もの召使たちが見えた。この要塞都市に、ほぼリング全体の人間が入って来ている。この国の民は、すべてが繁栄と国力を示すようにとの命を受け、何ヶ月も準備を進めてきた。これは結婚のためだけではない。マクラウドへのメッセージを送る日でもあるのだ。
マッギルは、城壁、街路、都市の外壁に沿って、戦略的に配置された何百人もの兵士の閲兵を行った。兵士の数は必要を上回っていたが、それで満足だった。国力を顕示するのが希望だった。その一方で緊張もしていた。小競り合いが起こる環境が整っている。いずれの側にも、酒にあおられてけんかを始める、短気な者のいないことを願った。騎馬試合場、運動場に目をやり、競技、騎馬試合などのあらゆる祭事が行われるこれからの日々に思いを馳せた。闘いは激しくなるだろう。マクラウドが小規模な軍隊を引き連れてくることは必至で、騎馬試合、レスリング、その他全ての競技が意味を持つだろう。一つでも不首尾に終われば、争いに発展する可能性もある。